デジタルデバイドとは何か/教科書には載らないニッポンのインターネ
No.49 「デジタルデバイドとは何か」 木村忠正(2001年1月 岩波書店)
著者は、早大理工学部教授であり、朝日ニュースター「ニュースの深層」キャスターでもある。
また、2005年3月末から2007年3月末の2年間で、アクティブユーザー数が、
ブログで95万人から296万人に、SNSが80万人から751万人に膨れ上がると予測した、
総務省の情報フロンティア研究会のメンバーでもある。この前ヒアリングした。
内容としては、社会が情報化してくると、ネットにアクセスできるものとできないものの間に格差が生まれる。その状態を「デジタルデバイド」とよび、それは質的に見ていくつかに分けることができる。
①狭義のデジタルデバイド…情報ネットワークへのアクセスが限られている社会集団に対して、いかに環境整備し、利用できるのかという施策
a.社会内における問題
b.南北間の問題
②社会の総体的再編成が生成するメカニズムと再編成により生み出される経済的格差、社会的格差がどのようになるのかという問題
この、狭義⇒広義のデジタルデバイドを繋ぐ結論として、
社会内や南北間での情報ネットワークへのアクセスの差⇒経済的、社会的格差を生む。
となるが、その論理構成は異なる2つがあり、だからこそ検討すべきだと述べている。
①個人レベルでの問題…もともと、アクセスのしやすさは格差と相関している。
②企業・組織・社会レベルでの問題…アクセスのしやすさが競争有意を生み出し、結果として格差が生じる。
本書の主張としては、情報化の中で、地理的な近接性よりも、
情報ネットワークへのアクセスが重要であり、
実際にアウトソーシング先を海外に求めるオフショアソーシングも盛んに行われている。
それに対して、(出版された2001年では)日本のネット環境は整備されていない。
一方で、北欧は国家戦略としてIT環境の整備や教育を行うことによって、
高い力と豊な社会を実現している。
デジタルデバイドとは何か―コンセンサス・コミュニティをめざして
- 作者: 木村忠正
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2001/01/25
- メディア: 単行本
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No.50 「教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書」 ばるぼら(2005年5月 翔泳社)
固有名詞や日時を記述した構成となっており、
日本でのネット環境の歴史がリアリティを持って読むことができた。
日本のインターネットは84年に東工大、慶大、東大の3校でネットをつなぐ
JUNETからはじまり、92年ごろから盛り上がりだした。
なので、既に一般的になっているネットというものは、まだ10年ちょっとしかたっていない。
これはすごいことだ。
その間に、ネットニューズやe-zine、から、掲示板やブログ・SNSなどの進化をたどっている。
この間、大学教授の先生方に意見を求めたら、この分野の進化は早すぎて予測できないと言っていた。
- 作者: ばるぼら
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2005/05/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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No.51 「ブログ 世界を変える個人メディア」 ダン・ギルモア(2005年8月)
本著は、ブログが米国のジャーナリズムに対してどのような影響を与えたかについて論じている。
また、ブログ以外の技術である、メーリングリスト、フォーラム、ウィキ、携帯メール、携帯カメラ、インターネット放送、ピア・ツー・ピア、RSSといった技術とジャーナリズムとの関係も論じられており、大変興味深かった。
ブログがジャーナリズムに与える本質としては、
市民の誰もが記者になれることや、ほぼリアルタイムで情報がいきわたる点などを上げている。
それは、ブログが簡単でだれでも操作できるようなツールであり、あるトピックに関しての広がりができやすい性質を持つためだという。
残る課題としては、ブログの書き手の信頼性に関することで、
評価システムが確立すれば、解決できると主張している。
また、テクノロジーの進歩に関しても論じており、
いくつかの情報技術に関する法則も紹介されている。
・ムーアの法則
「シリコンチップ上のトランジスタの集積度が18ヶ月から24ヶ月ごとに倍増する」
・メカトーフの法則
「通信ネットワークの価値は、ノード(結節点)、すなわち接続している端末の数の二乗に比例する」
・リードの法則
「ネットワークの価値は、端末によって形成されうるグループ数に比例する」
※端末数Nとして、グループ数は2^N−N−1
- 作者: ダン・ギルモア,平和博
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2005/08/05
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