「口コミ」の経済学/ケータイ・リテラシー/ジェネレーションY

No.67 「「口コミ」の経済学」 田中義厚(2003年8月 青春出版社

個人的に、ネットやケータイ上でのコミュニティやコミュニケーションに興味があって、
また、マーケティング的な観点からも、マス広告ではなく、口コミに興味があるので読んだ。

ネットは口コミの力を増大させるツールとして大きな力をもつというのは、2チャンネルやアメリカの選挙の際のブログでの世論形成の過程をみていても事実だ。
その理由として、ネット空間には「欲望の増幅現象」がおきやすいという性質があるという指摘になるほどと思った。

第二章の「口コミのメカニズム」は面白かった。
人は元来、おしゃべり好きであり、そのために生きているという視点は興味深かった。
仕事上、専門家にヒアリングする機会が多いので、こんな若造相手に話してもらって恐縮です、という気持ちがあるのだが、この記述を呼んで幾分かは気が楽になった。

また、「2:6:2の法則」という法則があり、商品を使ってみて大変気に入った人を10とすると、商品特性によるが、商品のメリットを自分から進んで話す人:機会があるときにその商品を他人に勧める人:何も語らない人=2:6:2だという。このような構造化の視点がつかめたこともよかった。

No.68 「ケータイ・リテラシー 子どもたちの携帯電話・インターネットが危ない!」 下田博次(2004年12月 NTT出版)

著者は群馬大学社会情報学部大学院研究科教授。
また、NPO団体「ねちずん村」の村長でもあり、子どものケータイやインターネット利用の問題に取り組んでいる。
携帯電話が子どもたちにとってどのようなツールであり、そこにはどのような危険があるのか。また、著書がねちずん村の村長としてどのように課題解決に取り組んでいるのかが本書の内容。

子どものケータイに対する捉え方としては、メールやインターネットのツールだが、親たちはそれを理解していない。そのようなギャップがあるがゆえに子どもの利用状況を把握できないことや、ケータイのユーザーである子どもたちがケータイ利用に関する危険性に気づいていなかったり十分に理解していないことがケータイにかかわるトラブルの原因だという。
逆に言えば、親の理解や関与、子どもの危険に対する理解を進めることが、重要だと語る。

さまざまなトラブルの実体験をもとにした構成で、ケータイの怖さを実感した。
そこには被害者になるリスクに加えて、加害者になってしまうリスクも感じた。

教育的な側面から考えると、学校内だけでは到底、解決し得ない問題なので、家庭でいかにして取り組むのかはとても重要だと思う。

ケータイ・リテラシー―子どもたちの携帯電話・インターネットが危ない!

ケータイ・リテラシー―子どもたちの携帯電話・インターネットが危ない!

No.69 「ジェネレーションY 日本を変える新たな世代」 日本経済新聞社(2005年4月 日本経済新聞社

本書は、2004年5月から2005年3月まで日本経済新聞夕刊に連載された企画を加筆修正したもの。
1975年以降生まれを本書ではジェネレーションYと定義する。

Y世代を特徴付ける三大要素は以下のとおり
①両親が戦後生まれ
②好景気を知らない
③デジタル環境に囲まれて育った

そのようなことから、真面目、現実的、生き急ぐ、勉強熱心、個性や自分らしさを重視する…というような傾向をもつ。

自分もY世代の一人だが、読んでて非常に納得できる部分が多かった。
特に、自分らしさを追い求める中での葛藤や焦燥感などは常に感じている部分である。