EQ〜こころの知能指数

No.92 「EQ〜こころの知能指数」ダニエル・ゴールマン(1996年7月 講談社

筆者は、ジャーナリストとして数々の賞を受賞している。ハーバード大学大学院にて心理学博士号、教鞭をとった後、「サイコロジー・トゥデー」誌のシニアエディターを務めた。
本書では、情動について科学的に解明された事実を紹介されている。ちなみに、原著では「EQ」というフレーズは使われていない。

⑥才能を生かすEQ
⑦共感のルーツ
⑧社会的知性
第三部 EQ応用編
⑨結婚生活の愛憎
⑩職場のEQ
⑪医療とこころ
第四部 EQは教育できる
⑫家庭が教えるEQ
⑬心的外傷の修復
⑭気質は変えられる
第五部 情動の知性
⑮情動教育のかたち

IQが「考える知性」であるとすれば、EQは「感じる知性」である。人間にはこの2つの知性があり、相互に関連している。IQを最大限に活用するためにはEQの働きが必要だ。
本書は、EQの違いがどの程度人生に違いを生むのかを中心に、情動について説明している。

EQには5つの要素がある。
①自分自身の情動を知る(いわゆる、メタ認知能力)
②感情を統御する
③自分を動機付ける
④他人の感情を認識する(いわゆる、共感能力)
⑤人間関係をうまく処理する
IQはあまり変えることはできないが、EQは後天的に変えることができる。「情動教育」は効果的である。
しかしながら、脳の成長の視点から見ると「臨界期」が確かに存在しており、社会的に道を踏み外した人たちの多くが家庭(特に親子関係)に問題があることからみてもわかるとおり、幼年期の体験、教育はその後の人生に大きな違いを生む。

教育界でも、「ソーシャル・スキル」が重要なテーマになっていることからも、情動をどう考えていくのかは非常に重要な問題だ。

EQ~こころの知能指数

EQ~こころの知能指数