経済ってそういうことだったのか会議

No.89 「経済ってそういうことだったのか会議」佐藤雅彦竹中平蔵(2002年9月 日本経済新聞社

佐藤雅彦は、東京大学教養学部卒。電通を経て独立。現在、TOPIX代表。慶應義塾大学教授。数々の広告賞を受賞。
竹中平蔵は、一橋大学経済学部卒。日本開発銀行ハーバード大学客員教授、大蔵省財政金融研究所主任研究官、大阪大学経済学部助教授、慶応義塾大学教授を経て、政界へ。
本書では、佐藤雅彦から竹中平蔵への経済に関する鋭い質問を通し、経済がわかりやすく解説される。

本書は9章+終章+追加章の構成で、
①お金の正体…貨幣と信用
②経済のあやしい主役…株の話
③払うのか 取られるのか…税金の話
④なにがアメリカをそうさせる…アメリカ経済
⑤お金が国境をなくす…円・ドル・ユーロ
⑥強いアジア、弱いアジア…アジア経済の裏表
⑦いまを取るか、未来を取るか…投資と消費
⑧お金儲けはクリエイティブな仕事…起業とビジネス
⑨人間とは「労働力」なのか…労働と失業
終章 競争か共存か
会議 その後

経済の基礎用語の説明が本文と同じページに入っていて参照しやすい。佐藤雅彦による「竹中語録」は復習としても使えるし、挿絵もおもしろい。
3章の税金の話。治安を守る変わりに強制的に取られるのが税金であり、その意味では「みかじめ料」と似ている。また、税の徴収の概念としては、水平的な公平と垂直的な公平という2つの考えがあり、税の種類によって違う。究極の水平的な公平である人頭税が理想的だと竹中は言う。これは簡素・公平・中立というよい税の三原則とも調和するが、実現は難しい。昨日、テレビで株についての討論をしていた。その中で、和田秀樹が「株式投資で1億儲けても1割程度しか税金が取られないのに、汗水流して同じように1億稼いだら半分くらい持っていかれるのは不公平だ」と言っていた。難しいが納得感のある税のシステムにしてほしい。