やさしくわかる発達心理学

No.90 「やさしくわかる発達心理学」林洋一(2005年3月 ナツメ社)

筆者は、報徳会宇都宮病院附属准看護学校校長、いわき明星大学人文学部教授。

本書は6章構成で、
①「性格」はどうつくられる?〜人格の発達〜
②「対人能力」を育てる環境〜社会性の発達〜
③「脳」の発達も環境しだい〜脳とからだの発達〜
④本物の「知力」を身につける〜知能と言葉の発達〜
⑤やる気を高める「学習法」〜学習と教育〜
⑥大人のための発達心理学講座

かわいらしいイラスト、専門用語の説明など、とてもわかりやすい。さらに、ネットの話や子ども以外を対象にしている分野など、新しい知見や視点を取り入れており実践的でもある。
子どもが「社会性」を身につけていく過程において、親はもちろん、きょうだいが大きな要素を占めている。
ひとりっこはその意味で不利であり、政策にしている中国ではこどもが「小皇帝」と呼ばれているようにわがままであることは興味深い、
また、核家族化や、住環境の変化による遊び場の現象は、「社会性」をはぐくむ場の現象という意味で問題があると感じる。
環境変化が顕著な現在、「発達心理学」の視点から見て良くはない変化はいろいろとあると思う。

6章では、青年期以降の発達について述べられていた。
それを見ると上司は「中年期クライシス」に入っており、悩みもいろいろあるのかな、と思いを馳せた。
発達の視点からの世代論を絡めたコミュニケーションのとり方などは面白いと思うので、「日経ビジネスアソシエ」あたりで特集してほしい。

やさしくわかる発達心理学―子どもの出すシグナルをキャッチする

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